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〜 one tree of Life 〜
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〜市橋と源山〜
【妖怪の根城】。
かつてはそう呼ばれた場所で俺たちは週に一度酒を飲むことにしている。
俺の向かいに座る男は【源山】−妖怪の頭目だ。
上の連中が知ったら俺は即殺されるだろう。
まあ、それは俺の嘘の報告がばれても同じことだ。

「なにか、変わったことはないか?」
一升瓶をドンと置き、源山は俺に言った。
俺はこの半年で初めてその質問の答えを変えた。
「入隊者だ」
源山も驚いたのだろう、即座に聞いてきた。
「名前は?」
「沢村忠吾…知っているか?」
結局あの試験では名を聞き忘れたが、小村屋にいた信也から聞いた。
女連れの浪人。そいつが小村屋にいたそうだ。
信也は意外なところで役に立つ。
「さあ、聞いたことは無い」
源山が知らないということはそれほどの者ではないと言うことか。
「そっちには変わった事はないのか?」
俺の質問には変わった答えは無かった。
「じゃが…なにか変わったことが起こるのはこれからじゃろう」
源山はそれから半年前の話を始めた。

確かに半年前、門司隊長の娘と慎三郎が来てこの町は変わった。
結果的に良い方向だった…そう思うのも源山のおかげだが。

「その沢村忠吾…腕はたつのか?」
その答えはには少し悩んだが正直に答えた。
「義隆と同等…か、それ以上だ」
「だとすればお前以上か、勝歳」
源山は時に俺を名前で呼ぶ…名前は門司隊長に聞いていたのだろう。
「さあな。実戦にならなければわからん」
確かにそうだと言いながら源山は顔をしかめた。実戦など起きて欲しくはないというのが本音だろう。
されど天巌隊は妖怪討伐の為の組織−それを忘れてはいけない。桜下町に害をなす妖怪が現れれば戦うしかない。

この町以外にも妖怪はいるはずだ。
俺の考えは間違ってはいない。この半年間の源山との会話でその確証を得た。
それでもそこまで討伐に行かないのは天巌隊の現在の戦力と…この町に余計な争いを持ち込まぬ為だ。
それが門司隊長の意志を継ぐことだと俺は思う。

程ほどに飲んだ酒にいくらかの銭を払い、後にする。
「もう居酒屋は止めたんじゃ」
いつも源山は俺に言うが、それでは俺の気が済まない。
(俺も丸くなったもんだ)と軽く口角をあげる。
出口に差し掛かるところで俺は声をかけられた。
「あんたも丸くなったねぇ」
町の者とは思えない服装、こいつも妖怪だ。
「俺も今そう思ったところだ、白峰」
白峰も軽く笑みを浮かべた。
「あんたと気が合うなんてあたしも丸くなったのかね」
「さあな」
さっさと外に出ると伊之助が迎えに来ていた。
「お疲れ様です、隊長」
「ああ、お前もな」
「俺はいいんです!!」
図体同様にでかい声を出すと伊之助は俺の後ろにいる白峰を見つめた。こいつはあの一件から白峰に会えるのを楽しみにしている…天巌隊の隊士が妖怪に惚れるなんて、笑える話だ。

「行くぞ」
伊之助は一拍遅れて返事をする。後ろで白峰が金糸の扇を振った。気配だけだからどんな顔をしているかはわからない。だが、伊之助の綻んだ顔を見る限り微笑んでいるんだろう。妖怪の根城を後にした俺は伊之助に言った。
「伊之助…止めておけ」
「なんでですか!?」
「…殺されるぞ」
ひぃっと声をあげながら伊之助は笑った。そのまま俺に言う。
「隊長でも冗談言うんですね」
「さあな」

−四月二日。
伊之助の持つ灯りに照らされた桜は咲き始めている。

| 高田 一樹 | 翠月が笑ったらぶった斬れ!2(小説版) | 17:49 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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地元新潟で演劇活動などを行う人。


峰精流剣舞道峰精館所属。
雅号は高田壱峰(いっぽう)
師範なのを良いことにやりたい放題する。

殺陣教室!!
高田劇剣術道場

詳細はこちら
綺麗なお姉さんと心理学が好き。
モテたい。

twitter@sir_kz その他詳細は下のPROFILE欄でご確認ください。


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