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〜 one tree of Life 〜
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〜義隆の朝〜
四月三日。曇り。
珍しく隊長が朝帰りをした。迎えに行った伊之助さんに事情を聞くと、
「いきなり『屯所に戻れ』と恐い顔して言われたんで帰ってきました」
…あの人が恐い顔するのは別に今に始まったことじゃないんだけどなぁ。
「それまで談笑してたんで、余計恐かったんですよ」
と、伊之助さんは付け加えた。うん、そっちのほうが珍しい。

いつものように朝起きて顔を洗ってると隊長が帰ってきた。慎三郎さんと一緒に。
この二人の組み合わせも珍しい。
「珍しい組み合わせですね、今日はこれから雪でも降るのかな」
と、冗談まじりに聞いてみたけど二人は暗い顔で通り過ぎていった。
屯所の道場に入るところで立ち止まった隊長が僕に言った。
「お前も来い」
二人について行くと保管してある翠月に着いた。
「…やっぱそうだよな」
慎三郎さんはそこで初めて口を開いた、そういえばこんなに寡黙な彼も珍しい。

これはもう雪どころの話じゃないかもしれないな。
「気は済んだか?」
隊長が慎三郎さんにそう言うと慎三郎さんも頷いて、早々と帰っていった。
「なにかあったんですか?」
僕はやっとそこで聞きたいことを聞いた。
「妖怪だ」
隊長の淡々とした口調で説明を受けた。
「これからなにが起こるかわからん、お前も用心しておけ」
そう言って隊長は自室のほうへ歩き出した。
「あの…入隊式はどうしますか?」
「任せた…昼に起こせ」
どうやら隊長は相当眠いらしい…それもまた珍しい。


無事に入隊式を終えて…と、言っても隊長がいないから伊之助さんと信也さんへの紹介だけだったけど。二人に町の案内を頼んでおいた。これで僕はのんびりと屯所で見張りができる。信也さんは新人には厳しくあたる、そういえば伊之助さんの時もそうだったな。
伊之助さんも「ああ、喉が渇いたなぁ!お茶が飲みたいなぁ!」と大きい声で言った。どうやら新人を走らせたいんだろう。「買ってきますよ」という一言ににんまりと笑みで答えていた。新人いびりって言うやつなんだろうけど、その構図はすぐに変わるだろうから放っておこうと思った。こういう考えは自分でも残酷だと思う。

三人が屯所から出て行くと、一気に静かになった。
自分で淹れたお茶を飲んで、少し色の入った桜を眺めていた。
「僕は貴方のように人を斬ったことはない」
急にあの入隊試験で聞いた声が頭の中にこだました。
未だにその真意は聞けてない…。だからその事を考えるとあっという間に時間が過ぎてしまう。答えがわからないから、探そうとしてしまう。だけど、他人の言葉の答えは他人しか知らない。
僕は顔を軽く、叩いた。
「やめよう」
僕らしくない、考え事なんて。

しばらくすると騒々しい足音で伊之助さんが走ってきた。
「義隆さん!!やばいです!!」
「どうしたんですか?」
「妖怪です!!それも…なんか、いっぱい!!」
…緊張感が無い言葉だけど、それも動揺から来てると見てとれた。
「わかりました、行きましょう!!」
「俺、隊長を起こしてきます!!西に行ったところで信也さんが待ってますから!!」
そういうと伊之助さんは隊長の部屋へ駆けていった。
僕は屯所を後にして信也さんの下へ走っていった。

−珍しいことだらけの日。嫌な予感を振り払うように走った。
辿り着いた先には屯所を出た三人がいた。
僕に報せに走ったはず伊之助さんが言った。
「良かった、呼びに行こうと思ってたんですよ」
「え?」
「妖怪が出たそうです、それもかなりの人数で」
嫌な予感はさらに強くなった。
| 高田 一樹 | 翠月が笑ったらぶった斬れ!2(小説版) | 14:45 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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地元新潟で演劇活動などを行う人。


峰精流剣舞道峰精館所属。
雅号は高田壱峰(いっぽう)
師範なのを良いことにやりたい放題する。

殺陣教室!!
高田劇剣術道場

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綺麗なお姉さんと心理学が好き。
モテたい。

twitter@sir_kz その他詳細は下のPROFILE欄でご確認ください。


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