Handmade Life

〜 one tree of Life 〜
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〜死した忠吾と紅月を掴む〜
−目の前が真っ白になった。

息をしなくなった忠吾を俺は掴んでいた。
自分の力で立てなくなった忠吾は力無く崩れた。
ぐちゃぐちゃになった意識の所為か、急に力の抜けた忠吾の所為か・・・俺は手を離しそうになった。いや、この後を考えればそのほうが良いはずだったが、俺にはそれができなかった。ただ、俺もあの妖怪になにかされたのか意識を失いかけていた。
「やべぇ」
そう思っただけで俺も忠吾を追いかけるようにして倒れた。

−真っ白になっていく視界が一気に暗くなる。

ほのかに赤いその闇の中に立っていたのは忠吾だった。
忠吾は刀を抜いたまま俺に背を向けていた。
「おい、忠吾!!」
生きてたのか・・・とは聞けなかった。確かに忠吾は俺の目の前で死んだ。
実際、もっと疑っていいもんだと思ってたが、人が死ぬってことは疑う事のできねぇもんだとさっき知った−それならこれは夢なんだろ。

俺に見える世界は少しづつだが明るくなっていった。それでも赤と黒の二色だけだが。
忠吾の先にはさつきがいた。
名前を紹介されたわけじゃねぇけど、あの時小村屋でぶつかってきた女がそうだろ。
「ガキは趣味じゃねぇよ」
さつきのさらに奥から声がした。影しか見えねぇがその声は明らかに岳牙だった。
周りには数人の妖怪が倒れた後だったようだ。
さっさと闇へ向かう岳牙。俺がそれを見ていると不意に声をかけられた。
「ああ、慎三郎さん・・・やはりあなたは使えたんですね、紅月を」
「なんだよこれ」
「夢の中ですよ・・・私の」
−夢・・・死んだんじゃねぇのか、忠吾は。
そう思っている俺を尻目に忠吾はさつきを見ながら言った。
「あなたにこれを見せておきたかった」
そう言い出して忠吾はさらに続けた。
「私は宛ても無く旅をしているだけの人間でした・・・武者修行だとか奉公先を探すとかそう言った考えは持っていませんでした。思えば死に場所を探していただけなのかも知れません」
長い話ってのはどうも好きになれねぇが、俺はこの話だけは聞いとこうとなぜか思った。
「さつきはたまたま会っただけです。初めて会ったときはちょうど今のような姿でした」
「一回しか見たことねぇけど・・・なんか気弱そうだな」
俺は思った感想だけ言った。
「そうです。さつきはどうやら仇を討つつもりで村を出たそうです・・・この桜下町から遠くは無い山の中でした」
忠吾はそう言うとさつきの足元にいた妖怪を斬った。そいつの右手はさつきの足首を掴んでいた。怯えた目をして振り返ったさつきの頭を忠吾が撫でた。
「私はさつきの仇討ちを手伝う事にしました」
「暇潰しかよ」
「始めはそうでした・・・でもそれから何ヶ月かさつきと過ごすうちに考えが変わりました」
忠吾はそのままさつきとの生活を並べていった。その中でさつきは変わったと言った。
「それで思ったんです。自分がこんなに年下の子供に頼って生きていることに」
・・・俺はハッとした。俺も同じだった。千草に出会うまではどうでも良かった。
「さつきは兄を殺されたと言ってました。私はいつしか自分がその兄になったように思ってました」
「・・・悪い」
俺はいたたまれなくなってそんなことを言った。俺がでしゃばらなければ忠吾は死んでいなかった・・・もっとさつきの兄として生きていられた、そんな気がした。
「いいんですよ・・・悔いは残りますが、慎三郎さんに会えた。その刀を託せた」
「それだけでいいのかよ」
「本音を言えば良くないですよ・・・私が死ねばさつきは兄を二人亡くしたことになる。でも私の役目は仇討ちですから。さつきの兄になる事じゃない」
忠吾はそのまま続けた。
「それに私よりもきっとあなたのほうが仇を討てる。そう思いましたから」
なんだよ、それ。勝手になすりつけてんじゃねぇぞ。
「そうじゃねぇよ!!まだ生きてぇのかって聞いてんだよ」
俺に考えが浮んだ。俺らしくもない閃きだった。おっさんに頼めば・・・!!
「生きたいです・・・まださつきの傍にいてやりたい」
「わかった!!任せろ!!」

俺は翠月とおっさんを探しに出かけた。
いつの間にか俺の世界は赤と黒の二色から普段の色に戻っていた。
| 高田 一樹 | 翠月が笑ったらぶった斬れ!2(小説版) | 15:47 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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地元新潟で演劇活動などを行う人。


峰精流剣舞道峰精館所属。
雅号は高田壱峰(いっぽう)
師範なのを良いことにやりたい放題する。

殺陣教室!!
高田劇剣術道場

詳細はこちら
綺麗なお姉さんと心理学が好き。
モテたい。

twitter@sir_kz その他詳細は下のPROFILE欄でご確認ください。


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